抄録
日本において観光産業は新卒学生にとって人気の産業であり、常に就職人気ランキングの上位に位置する産業である。日本の大手人材・広告企業であるマイナビ社の「大学生就職企業人気ランキング(文系)」によると1990 年から30年間の間に上位10社には観光関連企業はのべ108社ランキング入りしており、上位10社の約4割弱が観光関連企業である。また、コロナ禍にもかかわらず2020年においても4社が上位10社にランキング入りしており、観光業が文系大学生にとって人気企業となっていることがうかがえる。一方で、観光業において人材の定着率は非常に低く、せっかく希望の業界に就職した学生の多くが観光業界を去っているという深刻な事実がある。この背景には日本の観光業界の労働生産性が低く、待遇改善の原資となる企業の利益が小さいことがある。宿泊業での労働生産性に関する研究は多くあるものの、それらは従業員のモチベーションに関する研究が中心で労働生産性についてオペレーション効率やマーケティング戦略の観点からの研究はあまり多くない。本稿では沖縄県の宿泊業を例に宿泊業の労働生産性を従業員のモチベーション以外の要素から検証する。