抄録
「目的」変形性膝関節症(膝OA)患者の疼痛は、患者によって原因が異なる。目的は疼痛を有する膝OA患者がどういった表現型(フェノタイプ)に分類可能かを検証することとした。 「方法」対象は、膝OAと診断された50名。調査項目は、膝OAの疼痛と有意な関連が示されている下肢の関節可動域(ROM)、膝関節の筋力、起立・着座能力、歩行度、自己効力感、破局的思考、症状の重症度、疼痛の評価とした。統計解析には、t 検定およびクラスター解析を使用し、有意水準は 5% とした。 「結果」解析の結果、フェノタイプは2つに分類できた。タイプ1は、疼痛と自己効力感、歩行度、膝関節伸展ROM、伸展筋力の有意な相関が示された。タイプ2は、疼痛と股関節内旋ROM、外ROM、膝関節屈曲ROM、伸展ROM、伸展モーメントの有意な相関が示された。
「結論」フェノタイプ1による分類は、心理的要因を軸にて構成され疼痛の予後予測としても用いることが可能であることが示唆された。