理学療法の臨床と研究
Online ISSN : 2188-3041
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ISSN-L : 1880-070X
学術研究助成
疼痛との関連性の違いから分類する変形性膝関節症罹患者の表現型
多施設共同横断研究
廣濵 賢太南有田 くるみ田中 亮小澤 淳也永見 達朗中島 大悟波多野 圭太木藤 伸宏
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2016 年 25 巻 p. 43-50

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抄録
「目的」変形性膝関節症(膝OA)患者の疼痛は、患者によって原因が異なる。目的は疼痛を有する膝OA患者がどういった表現型(フェノタイプ)に分類可能かを検証することとした。 「方法」対象は、膝OAと診断された50名。調査項目は、膝OAの疼痛と有意な関連が示されている下肢の関節可動域(ROM)、膝関節の筋力、起立・着座能力、歩行度、自己効力感、破局的思考、症状の重症度、疼痛の評価とした。統計解析には、t 検定およびクラスター解析を使用し、有意水準は 5% とした。 「結果」解析の結果、フェノタイプは2つに分類できた。タイプ1は、疼痛と自己効力感、歩行度、膝関節伸展ROM、伸展筋力の有意な相関が示された。タイプ2は、疼痛と股関節内旋ROM、外ROM、膝関節屈曲ROM、伸展ROM、伸展モーメントの有意な相関が示された。 「結論」フェノタイプ1による分類は、心理的要因を軸にて構成され疼痛の予後予測としても用いることが可能であることが示唆された。
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© 2016 公益社団法人 広島県理学療法士会
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