抄録
「目的」大腿骨近位部骨折術後患者を、受傷前に平地に住んでいた者(平地群)と傾斜地に住んでいた者(傾斜群)に分け、自宅退院に影響する因子を検討した。
「方法」身体機能として、退院時の 10m 歩行時間、6 分間歩行距離、Motor FIM を測定した。認知機能として、退院時の HDS-R を調査した。各項目を平地群と傾斜群で比較した。
「結果」自宅退院率は平地群が 60%、傾斜群が 69%で、傾斜群で有意に高かった。介護状況は、独居者が平地群で 70%、傾斜群で 56%であり、平地群で有意に高かった。6 分間歩行距離は、平地群の自宅退院者より傾斜群の自宅退院者で有意に長かった。HDS-R と Motor FIM は両群で差がなかった。
「結論」自宅退院を目指す場合に認知機能と ADL 能力は居住地の影響を受けていないことが示された。傾斜地への自宅退院には高い歩行能力が求められ、介助者がいることで傾斜地への自宅退院が有利になる可能性が考えられた。