抄録
「症例」 右視床出血を発症し、左片麻痺を呈した70歳代女性。パーキンソン病の既往があったが、発症前の歩行や日常生活動作は自立していた。入院時に左半身の重度麻痺、重度感覚障害、Pusher現象の評価であるScale for Contraversive Pushing(以下SCP)2.5点を認めた。第40病日に眼瞼痙攣を併発して機能的失明状態となり、Pusher現象が増強(SCP4.5点)した。左半身への体性感覚入力、および視覚入力が困難であったため、非麻痺側半身の体性感覚入力や聴覚入力に介入して、主観的身体的垂直認知を修正し、第100病日にPusher現象が軽減(SCP1.5点)した。
「結論」 視覚情報の入力が困難で、なおかつ半身の重度感覚障害があっても、非麻痺側半身の体性感覚や聴覚入力に介入することで、主観的身体的垂直認知を修正し、Pusher現象を軽減できる可能性がある。