抄録
13頭のHereford若雌牛の卵巣濾胞から, 34個の卵子を得,細胞学的に牛卵子の成熟分裂の過程を観察した。
1) 発情開始前,濾胞は径13mmにも達するが,核はすべてprophaseIにあった。
2) 発情初期の10mm以上の濾胞から得た4個の卵子はいずれもmetaphaseIに,発情後期の12mm以上の濾胞から得た7個の卵子は,metaPhaseI(1), telophase I (1)及びmetaphase II (4)の種々のstageにあったほか, 1個は退化卵子であった。
3) 10mm以下の小濾胞卵子は,発情開始後もprophase Iに静止したままであった。
4) 以上のことから,発情開始前,濾胞はほぼfullsizeに近くまで発育するが,核はprophase Iにある。発情開始と共に10mm以上の濾胞内卵子のみが成熟を開始してmetaphase Iにすすみ,以後のstageは発情の後期において急速にすすむことを知った。