家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
妊娠前半期に下垂体を剔出したラットに対するPMSGの妊娠維持作用
三浦 豊彦田内 清憲今道 友則
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1970 年 16 巻 1 号 p. 20-29

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抄録

妊娠前半期に下垂体を剔出したラットに対して,PMSGが妊娠を維持させることができるかどうかを検討した。
術時から妊娠前半期の間だけ1日1回PMSGを連続投与し,妊娠20日目相当日に解剖して観察したところ,日量1~10I.U.を投与された妊娠6日目以後に下垂体を剔出した群に,生存胎仔を有する動物がみられた。妊娠7,8日目下垂体剔出群に対して日量5I.U.,妊娠9日目手術群に対して日量10I.U.を投与した場合には,88%の妊娠維持率が得られた。しかしながら,妊娠中に下垂体を剔出して,PMSGによって妊娠が維持される限界の妊娠日数ならびに妊娠維持に有効な投与日量の範囲等を,HCGと比較した場合には,(PMSGは妊娠6日目以後,HCGは妊娠3日目以後の下垂体剔出群に妊娠を維持させることが可能であり,その投与日量は手術時の妊娠日数によって異なるが,PMSG 1~10I.U.,HCG 1/4~120I.U.であった)PMSGの妊娠維持効果は,概してHCGよりも劣っているように思われた。
なお,estrone単独投与による妊娠維持をも比較検討したが,PMSG投与による妊娠維持はPMSGによって分泌されたestrogenによる作用の他に, PMSGが直接黄体を刺激しているかどうかを明らかにすることはできなかった。

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