家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛卵胞液のestrogenおよびgestagen含有量について
百目鬼 郁男中原 達夫金田 義宏山内 亮
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1972 年 18 巻 3 号 p. 94-98

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抄録

性周期の各時期における牛卵胞液中のestrogenおよびgestagen含有量を生物学的方法によって測定して次の成績を得た。
1)屠場から入手した71頭の卵巣における1頭あたりの平均卵胞数は直経9mm以下のものは性周期の時期によって大差がなかった。直経10mm以上の卵胞は全体の90.1%に存在したが,13~15mmの大卵胞は発情後期~黄体開花期にかけて46例中2例に認めたに過ぎなかった。
2)卵胞液中のestrogen含有量は1.7~852.5μg/lの範囲にあった。この値は性周期の各時期を通じて大きい卵胞ほど高く,直径6mm以下の卵胞における含有量1.7~13.3μg/lに対し,直径7mm以上のそれでは13.3~852.5μg/lであった。とくに黄体退行期,発情前期~発情期のものにおいては,直径6mm以下の卵胞における含有量1.7~13.3 μg/lに対し7mm以上のそれでは106.6~852.5μg/lとその差がいちぢるしいことを認めた。また直径10mm以上の卵胞では黄体退行期,発情前期~発情期のものは,他の時期の16~32倍の高い含有量を示した。
3) gestagen含有量は21.1~169.0μg/lの範囲にあったが,この値は黄体初期を除く各時期を通じ,卵胞の大きいものほど含有量が高い傾向がみられた。時期別には発情期および黄体開花期に高く,黄体初期,黄体退行期に低い傾向がみられた。

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