家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
精子侵入期におけるハムスター卵子の酵素組織化学的研究
石田 一夫
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1972 年 18 巻 3 号 p. 99-104

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抄録

ハムスターの排卵直後の未受精卵子,排卵後2~3時間の精子侵入卵子および排卵後11~12時間の前核卵子について,Acid Pase, Alk Pase, ATPase, G-6-Pase,5'Ntidase, Etase, SDH, MDH(NAD, NADP), IDH(NAD, NADP),β-HbDH, LDH, G-6-PDH, GDHおよびα-GDHを組織化学的に検出したところ, G-6-PDHと5'Ntidaseを除くすべての酵素の存在が認められた。G-6-PDHと5'Ntidseには基質特異性がみられず,存在を確認することは出来なかった。Alk Pase活性は,未受精卵子では微弱であったが,精子侵入卵子および前核卵子において高まった。その他の酵素活性は,未受精卵子,精子侵入卵子,前核卵子の間に差異を認めることは出来なかった。dehydrogenasesの中では, MDHとLDHの活性が他のものにくらべてとくに高かった。未受精卵子および精子侵入卵子において,ATPaseとEtaseを除くすべての酵素は細胞質に一様に分布していたが,前核卵子において,これらの酵素は核の周辺に集まることが観察された。ATPaseとEtaseは細胞周辺部にみられ,後者は細胞質にもみられた。
この研究は,VII World Congress on Fertility andSterility, Tokyo/Kyoto,1971において講演した。

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© 日本繁殖生物学会
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