抄録
1. 卵胞嚢腫牛の血中性スデロイド値は外部徴候により異なり,持続性発情および思牡狂型のものではestrogen特にE2値が高くてP値が低く,無発情型のものではP値が高くてestrogen値が低い傾向がみられた。
2. 卵胞嚢腫牛の血中P値は,正常牛の発情期のP値に比べて,持続性発情および思牡狂型のものでは低く,不規則発情型のものでは僅かに高く,無発情型のものではかなり高かったが,正常牛の黄体期のP値に比べると,外部微候の型にかかわらず低い傾向を示した。
3. 卵胞嚢腫牛の血中estrogen特にE2値は,正常牛の発情期および黄体期の値に比べ,持続性発情および思牡狂型のものでは著しく高かったが,不規則発情型および無発情型のものでは低い傾向がみられた。
4. 血中P値が高いもの程治癒率は高く,受胎までの日数も短かかった。また,血中E2値が高い牛ほど受胎までの日数は長い傾向がみられた。
5. 合成副腎皮質ホルモソ(ベタメサゾン)を投与した卵胞嚢腫牛の治癒率(妊娠頭数/治療頭数)は,外部徴候によって異なり,無発情型は最高で83.3%,次いで持続性発情および思牡狂型で78.3%,不規則発情型は最低で66.7%であった。