家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
卵胞嚢腫牛における血中性ステロイド値と外部徴候並びに治癒率の関係について
中尾 敏彦佐藤 邦忠小野 斉三宅 勝
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1974 年 20 巻 3 号 p. 105-110

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抄録
1. 卵胞嚢腫牛の血中性スデロイド値は外部徴候により異なり,持続性発情および思牡狂型のものではestrogen特にE2値が高くてP値が低く,無発情型のものではP値が高くてestrogen値が低い傾向がみられた。
2. 卵胞嚢腫牛の血中P値は,正常牛の発情期のP値に比べて,持続性発情および思牡狂型のものでは低く,不規則発情型のものでは僅かに高く,無発情型のものではかなり高かったが,正常牛の黄体期のP値に比べると,外部微候の型にかかわらず低い傾向を示した。
3. 卵胞嚢腫牛の血中estrogen特にE2値は,正常牛の発情期および黄体期の値に比べ,持続性発情および思牡狂型のものでは著しく高かったが,不規則発情型および無発情型のものでは低い傾向がみられた。
4. 血中P値が高いもの程治癒率は高く,受胎までの日数も短かかった。また,血中E2値が高い牛ほど受胎までの日数は長い傾向がみられた。
5. 合成副腎皮質ホルモソ(ベタメサゾン)を投与した卵胞嚢腫牛の治癒率(妊娠頭数/治療頭数)は,外部徴候によって異なり,無発情型は最高で83.3%,次いで持続性発情および思牡狂型で78.3%,不規則発情型は最低で66.7%であった。
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© 日本繁殖生物学会
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