家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
犬卵巣の生後発達について
山内 昭二梶田 芳紀池田 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

1958 年 4 巻 2 号 p. 60-62

詳細
抄録

8頭の日令既知の未経産雑種犬から得た卵巣とその他若干の日令未知の経産成熟犬から得た卵巣について組織学的見地からその発達を研究した。卵巣組織は通常の方法により組織学標本とされ,ヘマトキシリン•エオジソ,アザン及びPAS等の染色が用いられた。
胚芽上皮の陥没は50日令までの動物では比較的容易に識別される。以後次第に不明瞭となるがこの報告に用いられた材料については一応全例共にこの現象が認められる。性索は8日令のものに於いて最も著明な形態を示し以後は日令が進むにつれて次第に細分され遂には消失する。その一方皮質要素の形質が明確となつて来る。
8日令の動物の性索に於いて,卵細胞をその他の上皮性細胞から区別する事は殆んど出来ない。18日令以後のものでは著しい細胞質の増加により容易に卵細胞を識別する事が可能となり又日令が進むと共に卵黄顆粒の沈着が著明となつて来る。
80日令以後の動物の卵巣に於いて第2次卵胞が形成されるようになり,又第2次卵胞形成の末期(135日頃から)になつて内卵胞膜や透明帯が形成される。グラーフ氏卵胞は220日令の動物に於いて始めて認められた。
卵胞上皮細胞は卵索中の上皮様細胞に由来し,一方内卵胞膜細胞は卵巣皮質細胞に由来するであろうと考えられる。これら両者は夫々発現の時期を異にする,従つてこれらは夫々異る刺 ?? に反応して分化するものであろうと考える事が出来る。

著者関連情報
© 日本繁殖生物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top