日本繁殖生物学会 講演要旨集
第101回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR1-5
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卵巣
ウシ黄体由来血管内皮細胞における一酸化窒素合成酵素 (iNOS および eNOS) の発現に及ぼす prostaglandin F の影響
*Lee SeunghyungAcosta Tomas J.吉岡 伸Al-ziábi Mohamad O.奥田 潔
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抄録
【目的】ウシにおいて, 子宮由来の prostaglandin F (PGF) は黄体の退行を誘導することが知られているが, 培養した黄体細胞に PGF を添加しても progesterone (P4) 分泌が減少しないことから, PGF の黄体退行作用は直接的ではないことが示唆されている。ウシにおいて PGF 投与後血中一酸化窒素 (NO) 濃度が増加すること, 黄体内血流量の一過性の増加が見られること, また NO が培養ウシ黄体細胞の P4 分泌量を減少させ, さらにアポトーシスをも誘導することから, ウシの黄体退行機構において NO が重要な役割を果たすことが示唆されている。本研究では子宮由来の PGF は, ウシ由来血管内皮細胞 (LEC) の NO 合成を刺激し, NO を介して黄体退行を誘発するという仮説を証明する目的で, LEC における PGF-receptor (FPr) の発現を検討するとともに, NO 合成酵素である inducible nitric oxide synthase (iNOS) および endothelial nitric oxide synthase (eNOS) の mRNA, protein 発現に及ぼすPGF の影響を調べた。【方法】ウシ中期黄体より単離して得た細胞が LEC であることを Factor VIII (von Willebrand factor) 抗体を用いて確認した。培養 LEC における FPr mRNA 発現を RT-PCR 法, protein 発現を Werstern blot 法で, さらにウシ黄体組織における FPr の局在ならびに培養 LEC における FPr 発現を免疫細胞化学的に検討した。培養ウシ LEC の iNOS および eNOS の mRNA ならびに protein 発現に及ぼす PGF (1 µM) の影響を調べた。【結果】黄体組織切片における FPr 抗体に対する陽性反応は, 黄体細胞だけでなく血管内皮細胞にも認められ, また培養 LEC にも FPr の発現していることが明らかになった。PGF は培養 LEC の eNOS mRNA および protein の発現に影響を及ぼさなかったが, iNOS mRNA および protein 発現を有意に増加させた (P<0.05)。以上の結果から, 黄体退行時に子宮から分泌される PGF は LEC の iNOS 発現を増加させることにより NO 合成を刺激し, 黄体退行を促進する可能性が示めされた。
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© 2008 日本繁殖生物学会
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