日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-108
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生殖工学
IBMXとフォルスコリンの前培養がウシ体外成熟卵子の核成熟とICSI後の胚発生に及ぼす影響
*堀内 俊孝梶原 千晶森田 ひろみ田中 舞弥可兒 知加子桑波田 暁子越知 正憲日高 健雅松雪 暁子山田 博道
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抄録

【目的】体外成熟・体外受精・胚移植(IVM-IVF-ET)によって効率的に子牛生産を行うためには,発生能の高い卵子を作出できる体外成熟(IVM)培養系の確立が必要である。これまでに,IVM培地へのdbcAMP添加はウシIVM卵子の発生能を高めることを報告した。そこで,本研究では,3-isobutyl-1-methylxanthine (IBMX)とForskolin(FSK)の前培養によるcAMPの亢進がIVM卵子の核成熟と顕微授精(ICSI)後の胚発生に及ぼす影響を調べた。【方法】ウシ卵丘細胞・卵子複合体(COCs)を100 μM IBMX+100 μM FSKで2h前培養(Pre-IVM)した。1 IU/ml FSH,50 ng/m EGF,10 μM dbcAMP添加TCM199をIVM培地とした。[実験1]pre-IVM区と無処理区のIVM開始後0,3,6,9hにおける卵核胞崩壊(GVBD)率と15,17,19,21,23hにおけるMII率を調べた。[実験2]pre-IVM区と無処理区でのIVM後21hのMII卵子にICSIを実施し,胚発生を調べた。また,8日目の脱出胚盤胞率を比較した【結果】[実験1]Pre-IVM区と無処理区のIVM開始後0,6,9hのGVBD率は,各0,31,73,100%と0,3,50,100%となり,pre-IVM区では早期にGVBDが誘起された。15,17,19,21,23h のMII率は各43,65,85,89,100%と30,62,79,82,92%となり,同様であった。[実験2]Pre-IVM区または無処理区の2細胞期率は各76±10%と84±5%となり,有意な差はなかった。胚盤胞率は各30±3%と21%±1%となり,Pre-IVM区で有意に高かった。胚盤胞あたりの脱出胚盤胞率は,各47%と26%となり,Pre-IVM区で有意に高かった。【結論】IBMX+FSKのPre-IVM2h前培養はIVM卵子のICSI後の胚盤胞と脱出胚盤胞率を高めた。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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