日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-94
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生殖工学
フォルスコリンとIBMXの前培養がマウス体外成熟卵子の核成熟,紡錘体形態および体外受精後の胚発生に及ぼす影響
*森田 ひろみ田中 舞弥佐伯 佳美堀内 俊孝
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抄録

【目的】体内では,LHサージに伴い,卵丘細胞のcAMP濃度は急激に増減する。体外成熟(IVM)では,卵子のcAMP制御が発生能に影響する。そこで,本研究では,cAMP量を増加させるforskolin (FSK)とcAMP分解酵素ホスホジエステラーゼの阻害剤IBMXによるIVM前培養(pre-IVM)が核成熟,紡錘体形態,体外受精(IVF)後の胚発生に及ぼす影響を調べた。【方法】3週齢ICR雌マウスにPMSG投与後48hに未成熟卵子を採取した。pre-IVM区では50 μM FSK+50 μM IBMXで1h前培養を行い,cIVM区では前培養をしない,通常のIVMとした。IVM培地はαMEM+0.3% BSA+0.1% fetuin+5 ng/ml EGFとした。紡錘体はLC-PolScopeで観察した。[実験1]GVBD率とMII率の経時的な推移を調べた。[実験2]MII期の紡錘体面積を調べた。[実験3]IVM後15,21hのIVFによる胚発生を調べた。【結果】[実験1]cIVM区とpre-IVM区におけるIVM後1,2,3h のGVBD率は,各88,96,90%と各27,85,97%となり,pre-IVM区ではGVBDが遅くなった。IVM後7,9,11,13h のMII率は,各0,81,93,100%と各3,79,100,100%となり,同様であった。[実験2]cIVM区とpre-IVM区におけるIVM後15,18,21hにおける紡錘体面積は,各179,183,194 μm2と各156,164,172 μm2となり,pre-IVM区の紡錘体面積は小さく,排卵卵子の紡錘体面積158 μm2と同様であった。[実験3]cIVM区とpre-IVM区におけるIVM後15,21hの胚盤胞率は各29,9%と各41,10%となり,15hではpre-IVM区の胚盤胞率が有意に高かった。【結論】FSK+IBMXのpre-IVMを行うことで,MII期の紡錘体面積は小さくなり,IVF後の胚盤胞率も高くなった。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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