日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-95
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生殖工学
野生由来マウス系統における抗インヒビン血清投与による過排卵に適した週齢の検討
*持田 慶司長谷川 歩未渡辺 元田谷 一善小倉 淳郎
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抄録

【目的】過排卵の困難な野生由来マウス系統では,抗インヒビン血清の投与が効果的であることを本大会で報告してきた(2011–2012年)。その中で,Mus. M. molossinusに属するMSM/MsおよびJF1/Ms系統は,性成熟直前の5–7週齢でeCG投与の4–6倍にあたる排卵数のピークが見られた。しかし,他の系統で投与の適期が異なるケースも見られたことから,各系統における最適な週齢の検討を行った。【材料と方法】動物Mus musculusに属する5亜種の34系統,Mus spretus およびMus spicilegusに属する5系統を用いた。過排卵処置:主に5~9週齢の雌マウスにヤギ抗インヒビン血清(0.1ml/匹)またはPMSG(5IU/匹)を腹腔内投与し,48時間後にhCG(7.5IU/匹)を投与,約17時間後に採卵を行った。採卵では,卵管膨大部もしくは卵巣嚢内に排卵された卵子と,卵巣の卵胞内に残存している成熟卵子をそれぞれ集めた。体外受精:採取した卵子を入れたHTFまたは1.25mM還元型グルタチオン添加HTF液内へ,0.4 mM methyl-β-cyclodextrin を添加したPVA-HTFで1時間前培養した同系統の雄由来精子を導入して行った。4~6時間後に異常卵子数を数え,形態的に正常な卵子のみをグルコース添加CZBに移して,1晩培養を行った。卵子数のカウント:体外受精翌日の午前中に,受精卵(2-cell),形態的に正常な未受精卵子,異常卵子数をカウントした。【結果】抗インヒビン血清またはPMSG投与による効果は,6週齢での採卵数を比較することで各系統に効果的な誘起排卵方法を判別しやすかった。抗インヒビン血清における排卵数は,5–7週齢に多い系統が顕著であったが,ピークが分かり難い系統や8–9週齢もしくはそれ以降で多い系統も見られた。以上より,これら野生由来系統の過排卵には系統ごとに効果的な投与法および週齢を考慮することが重要と考えられた。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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