主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第112回日本繁殖生物学会大会
回次: 112
開催地: 北海道大学
開催日: 2019/09/02 - 2019/09/05
【目的】胚移植技術は雌側からの育種改良が効率的に行えることから候補種雄牛の生産にも有効利用されている。本研究では候補種雄牛の生産依頼のあった供胚牛より自家生産した胚および事業体が候補種雄牛生産のために輸入した胚(輸入胚)を用いて,胚移植による効率的な候補種雄牛の生産について検討した。【方法】本研究は,江別市内の1軒の酪農家(搾乳頭数43頭)において2018年1月から2018年12月に実施した。供胚牛にはホルスタイン種未経産牛5頭,経産牛3頭,合計8頭を用いた。過剰排卵誘起処置は腟内留置型プロジェステロン製剤(CIDR)と安息香酸エストラジオール製剤(EB)を用いて発情周期を調節してFSH投与を開始した。人工授精は発情確認後に通常の凍結精液または性選別精液を用いて実施し,発情後7日目に胚回収を行った。受胚牛にはホルスタイン種未経産牛7頭,経産牛40頭を用いた。全ての供試牛にCIDRを挿入し同時に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を投与して同期化処置を開始した(0日目)。CIDRとGnRH処置後7日目にPGF2α(ジノプロスト25 mg)を投与するとともにCIDRを抜去し発情を誘起し,8日目にEB 1 mg,9日目にGnRH 100 μgを投与し16日目に胚移植を行った。胚移植は自家生産または輸入胚を用いた。【結果】1年間に6回(8頭)の胚回収を実施し,平均回収総数14.5±11.1個,平均正常胚数5.0±4.4個が得られた。回収した胚は同期化処置を行った受胚牛19頭に新鮮胚移植を行い15頭が受胎(78.9%)した。また,凍結保存した自家生産胚および輸入胚を同期化処置した受胚牛20頭に移植し16頭が受胎(80.0%)した。本研究により自家生産胚および輸入胚から雄産子をそれぞれ2頭ずつ生産した(2019年4月現在)。以上の結果より,同期化処置を行うことで効率的に新鮮胚移植を実施でき,かつ凍結胚の受胎率は新鮮胚と遜色なく,自家生産胚および輸入胚から候補種雄牛を計画的に生産できることが示された。