日本繁殖生物学会 講演要旨集
第113回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-102
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ポスター発表
Cumate誘導型遺伝子発現調節システムを応用したマウスiPS細胞の作出
*西村 優花佐藤 卓菊地 貴裕桜岡 みづき喜多 悠斗湯上 佳美小林 正之
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抄録

【目的】体細胞からiPS細胞の誘導過程において,ゲノムDNAが脱メチル化されてエピジェネティックな状態(エピゲノム)が体細胞型からES細胞型に変換されることにより,初期化が進行する。初期化メカニズムを解明する上で複数の遺伝子発現システムを組み合わせることは有効であるが,Tetシステム以外にiPS細胞を樹立できる当該システムは報告されていない。そこで本研究では,微生物に由来するCumateシステムを応用してマウスiPS細胞の作出を試みた。【方法および結果】Cumateシステムを応用して山中4因子の発現を誘導し,マウスiPS細胞(CumiPS細胞)を得た。iPS細胞マーカーの発現を検証したところ,Western Blotting によりNANOG・OCT4・SOX2・KLF4,免疫蛍光染色によりNANOG・SSEA1が検出された。また,内在性のNanogOct4プロモーターDNAは,ES細胞と同様,極度な低メチル化状態に変換されていることが判明した。胚様体形成法により分化誘導したところ,CumiPS細胞におけるiPS細胞マーカー遺伝子(Oct4Nanog)の発現は分化誘導処理に伴い減少した。逆に,中胚葉マーカー(Nkx2.5Mlc2v),内胚葉マーカー(Gata6Afp),外胚葉マーカー(Fgf5Map2)の発現は分化誘導処理に伴い上昇した。また,免疫蛍光染色により中胚葉マーカー(NKX2.5),内胚葉マーカー(AFP),外胚葉マーカー(FGF5)が検出された。これらに加えて,心筋細胞に特徴的な拍動を示す細胞集団が形成された。以上の結果より,CumateシステムによりマウスiPS細胞を作出できることが示された。

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© 2020 日本繁殖生物学会
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