主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【背景・目的】マウス体細胞に山中4因子(Oct4,Sox2,Klf4,c-Myc)を遺伝子導入することにより,マウスiPS細胞が樹立された。しかし,精子・卵子ヘの分化能を有するウシiPS細胞は報告されていない。本研究室では,ウシ6転写因子(OCT4,SOX2,KLF4,NANOG,c-MYC,LIN28)を初代ウシ線維芽細胞に遺伝子導入することにより,iPS細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性を示す,不死化されたウシiPS細胞を作出した。しかし,マウスiPS細胞の培養条件(+KSR+LIF+2i)はウシiPS細胞の未分化状態維持に不適切であることが判明した。そこで本研究では,ウシES細胞の樹立・維持に用いられた培養条件(+BSA+FGF2+IWR1(Wntシグナル阻害剤),BogliottiらPNAS 2018)の適用を試みた。【方法】ウシiPS細胞の未分化状態を維持するために+BSA+FGF2+IWR1培養を行った。また,+FCS−FGF2−IWR1培養に変更することにより,遺伝子発現がどの様に変化するか検証した。未分化マーカー(OCT4,NANOG),外胚葉マーカー(FGF5,NESTIN,TUBB3),中胚葉マーカー(T,BMP4),内胚葉マーカー(GATA6,AFP)の発現をリアルタイムPCRにより定量した。【結果】+FCS−FGF2−IWR1培養により未分化マーカー(OCT4,NANOG)の発現が大きく増加したことから,未分化状態維持に+FCS,−FGF2,−IWR1のいずれかが適していることが示唆された。また,NANOGプロモーターのDNAメチル化解析により+BSA,+FGF2,または+IWR1のいずれかがDNAメチル化レベルの低下に寄与することが示唆された。一方,三胚葉分化関連マーカー遺伝子群の発現解析より,+BSA+FGF2+IWR1培養でも未分化状態維持が不安定であることに起因して,自発的な分化が生じていると考えられた。