主催: 日本繁殖生物学会
会議名: 第113回日本繁殖生物学会大会
回次: 113
開催地: 東北大学
開催日: 2020/09/23 - 2020/09/25
【目的】卵管は子宮と卵巣の間に位置し,胚の輸送や発達などの生殖機能の維持に重要である。この上皮組織は主に繊毛細胞と分泌細胞で構成され,その細胞構成比は発情周期によって変化することが明らかとなっているが,未だこの詳細なメカニズムは不明である。そこで我々はこれを解明するために,卵管上皮組織を体外で再現することに着目した。一般的に,上皮細胞は細胞外基質内での3次元培養下で細胞凝集体を形成後,立体的な胞状構造(シスト)を形成することで知られる。本研究は,ウシ卵管上皮細胞を3次元培養し,細胞凝集体およびシスト形成能を評価した。【方法】食肉センター由来のウシ卵管を卵巣の肉眼的所見をもとに4つの発情周期(stageⅠ~Ⅳ)に区分した(Irelandら, 1980)。各発情周期の卵管膨大部から上皮組織を回収し,酵素処理および濾過より細胞懸濁液を得た。2%マトリゲル,10% FBS加DMEM/F12で再懸濁後,マトリゲルでコートした48穴プレートに 1.0, 2.5, 5.0×105 cells/well となるよう播種した。14日間培養後,実体顕微鏡下で細胞凝集体および内腔を有する細胞外層が明瞭な構造体(シスト)を回収し,それぞれの形成数およびシスト形成率・外径を評価した。【結果・考察】どの発情周期の卵管上皮細胞においても凝集体およびシストは形成された。凝集体形成数はstageⅠからstageⅢにかけて有意に減少し(P<0.05),stageⅢとstageⅣでは同程度だった。また細胞播種濃度依存的に有意に増加した(P<0.05)。一方,シスト形成数,形成率および外径は発情周期間で有意な差はなかったが,細胞播種濃度依存的に有意に増加した(P<0.05)。以上から,発情周期の変化は細胞凝集体形成に影響する一方で,シスト形成能には影響しないことが示され,各発情周期のウシ卵管上皮細胞には一様にシストを形成する能力があると考えられる。