2009 年 49 巻 3 号 p. 35-48
本研究の目的は,水産業及び漁村の多面的機能政策として講じられている「離島漁業再生支援交付金制度」の現状と問題点を検討し,政策としての有効性を検証することである。その検証の基本視点は,多面的機能が漁業生産活動と密接不可分な関係にあるという立場から,将来にわたって多面的機能の発揮に責任の持てる健全な漁業者の存在を重視していることである。この基本視点から「離島漁業再生支援交付金制度」を検証すると,例えば「海岸清掃」のウエイトが全般的に高いように,集落支援を特徴とする交付金の使い方となっており,将来にわたって多面的機能の発揮に責任の持てる健全な漁業者への支援が薄いという実態が浮き彫りとなった。したがって,今後の多面的機能政策の課題として,あらためて漁業の将来を担う担い手と多面的機能という問題設定が重要であることを強調したい。