2012 年 52 巻 2 号 p. 65-83
本稿では,20世紀前半のカナダ北西岸における捕鯨業に関して,日本人と他民族との活動について説明する。研究方法については,カナダでの水産海洋科学局,日本では大日本水産会の報告書などからの分析を行なう。日本人の活動については,大陸日報社の報告書や,BC州公文書館に所蔵されている太平洋捕鯨会社の小切手類を精査した。また,当時の捕鯨業に従事した日本人の血縁関係者からの聞き取り調査によって,渡航の経緯をはじめとするライフヒストリーを把握した。
20世紀初頭のカナダ捕鯨業は,捕鯨基地では民族毎の分業システム,そして日本人の生活環境を整えるシステムも確立していたのである。