2013 年 53 巻 1-2 号 p. 33-51
滋賀県農政水産部水産課,滋賀県漁業協同組合連合会,守山漁業協同組合,沖島漁業協同組合に対するヒアリング調査と資料,文献調査を行い,琵琶湖における漁業者による外来魚駆除の現状と課題について検討した。琵琶湖で行われてきた外来魚駆除事業の比較,漁業者による外来魚駆除の駆除量の季節変動の分析から,漁業者は効率的な駆除を行っていることが分かった。漁業者は「本来被害者である漁業者が行政からの補助金を収入とするための負い目」,「本来の漁業に対する誇り」,「在来魚の漁業生産金額の低下による漁業経営の不安」などの意識を持っている。また,守山漁業協同組合,沖島漁業協同組合とも,漁業収入のうち外来魚駆除による収入が半分以上を占める漁業者が存在しており,一部の漁業者では「体力等の低下に伴う外来魚漁への依存」が存在している。外来魚の駆除に対するネガティブな意識は琵琶湖の外来魚問題の副次的な影響であるが,外来魚絶滅に向けて駆除努力量を増大させることを考える場合,積極的な参加を阻害する要因の一つになる可能性がある。今後,漁業者の意識に配慮した駆除の仕組みを検討する必要がある。