地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
漁業の経営再編における団体経営化の必要性と有効性
山口県内の有限責任事業組合(LLP)に注目して
板倉 信明
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 56 巻 3 号 p. 39-52

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抄録

本研究の目的は,漁業経営体や漁業就業者の減少を回避するための方策を経営組織の改革に注目して考えることである。その解明のため,本論文では経営組織を団体経営にする必要性と有効性を検討した。

考察対象とすべき団体経営に該当する経営組織には,会社,漁協,漁業生産組合,共同経営などがある。しかし,これらの設立は容易ではない。そこで,本研究の考察対象として,2005年に関連する法律が施行されて設立が可能となった有限責任事業組合(LLP: Limited Liability Partnership)とした。

調査は,行政(山口県),系統団体(山口県漁協),それに漁業者に対して行った。調査事例は,山口県内で近年設立されたLLPである山口県萩市A地区のイカ釣漁業と同県下関市B地区のサワラ一本釣漁業である。

検討の結果,行政,系統団体,それに漁業者も団体経営化の必要性と有効性を認識しているが,将来の経営形態を特定出来ていないために,LLPを有効に活用出来ていないことが分かった。今後の課題は,経営形態の将来展望及び団体経営の運営方法を具体化することである。

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© 2016 地域漁業学会
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