環境技術
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下水汚泥の焼却にともなうAsおよびSeの挙動に関する実態調査
森田 弘昭川嶋 幸徳池田 裕一
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2003 年 32 巻 11 号 p. 912-920

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抄録
汚泥処理過程の中で, 嫌気性消化とともに重金属の形態が変化すると考えられるのは汚泥焼却プロセスである.現在, 下水道で最も多く採用されている流動炉の場合は, 焼却にともなって発生する焼却灰は燃焼排ガスとともに炉外に排出され, 熱回収装置を経て灰捕集装置で回収される.この過程において, 排ガス温度は低下し, 一旦気化した金属あるいは金属化合物が焼却灰中に移行することが考えられる.
本調査は, このような観点から, 流動炉を対象に, 汚泥処理プロセス, 灰捕集装置などが異なる処理場において, 汚泥中のAsとSeの挙動に着目して実施設の調査を行い, 以下の知見を得た.
(1) 焼却過程におけるSeの挙動は, 脱水時の助剤と灰捕集温度の影響が大きい.高分子系汚泥の場合, 汚泥中Seの大部分が炉内で気化し, 灰捕集温度が低下すると凝縮または吸着により灰への移行率が大きくなる.一方, 石灰系汚泥では, SeはCaと揮発性の低い化合物を生成していると推定され, 気化することなく焼却灰にとどまることがわかった.
(2) Asの挙動については, 脱水時の助剤には, 影響を受けず, 灰捕集温度については, 明確な傾向が見られなかった.
(3) 今回の調査では, 270℃以上で運転されている灰捕集装置ではSeはほとんど灰に移行することはなかった.一方, 約200℃で運転した場合には灰移行率が大きくなり, アルミナトレーサー法で求めた濃縮率は約1となる.なお, 他の調査例でも約230℃でサイクロンを運転した場合に灰移行率が大きくなっており, 200~270℃の温度域が流動炉におけるSeの灰移行率の遷移域と考えられる.
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