抄録
高分子凝集剤 (カチオン性ポリマー) を注入した濃縮汚泥の嫌気性消化に対する影響を明らかにすることを目的として, 余剰汚泥を基質とした回分実験をおこなった.投入汚泥TSあたり1%以下の薬注率では嫌気性消化に阻害はなかった.実際の下水処理場では30日ほどの滞留時間があり, 微生物の馴化が進むと考えられ, 濃縮時の薬注による影響はないことが分かった.ポリマーの嫌気性消化に及ぼす阻害は, 投入汚泥TSあたり3%以上の薬注率で生じ, 薬注率50%では投入基質VSあたりの総ガス生成量は31%減少した.同じ薬注率では, カチオン度の高い凝集剤による阻害が大きかった.通常より過剰な薬注率で実験した結果から, ポリマーによる阻害の原因は, 凝集状態や粘性に起因するのではなく, ポリマーのカチオン性による細菌活性への作用であることが明らかになった.