日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: OR-7-3
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DNA損傷・修復2
DNA修復におけるメディエータータンパクTopBP1の役割
*森島 賢一小林 純也坂本 修一須田 哲司田内 広小松 賢志松浦 伸也
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抄録
 ナイミーヘン症候群は、電離放射線高感受性と染色体不安定性を特徴とする高発がん性遺伝病である。我々は、現在までに原因タンパクNBS1がDNA損傷後にリン酸化ヒストンH2AXと結合して、相同組換え修復に必須の役割を果たすことが明らかにしてきた。しかしながらDNA二重鎖切断修復のメカニズムには依然として不明な点が多い。最近、TopBP1や53BP1、MDC1などがDNA損傷シグナルを仲介するタンパクであることが明らかとなり、DNA修復機構を解明するためにその機能解析が進められている。本研究では、NBS1によるDNA修復機構にTopBP1が深く関与していることを見出したので報告する。  酵母Cut5/Rad4のホモログであるTopBP1は、DNA損傷部位にNBS1やγH2AXと共局在するフォーカスを形成する。今回我々は、TopBP1フォーカスがNBS1のFHA/BRCT変異細胞では正常に形成されないことを見出した。さらに、TopBP1ノックダウン細胞は相同組換え能が低下し、ATR欠損であるセッケル症候群細胞に特徴的なpremature chromatin condensationを高頻度に誘発することを明らかにした。また、最近TopBP1がATRの活性化因子であることが報告された。以上の結果から、TopBP1はNBS1依存的にDNA損傷部位に集積して、ATR活性を制御することで相同組換えに関わっていることが示唆された。
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© 2006 日本放射線影響学会
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