日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-20
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
重イオン照射したタバコ細胞におけるDNA2本鎖切断の定量的分析
*横田 裕一郎山田 真也長谷 純宏鹿園 直哉鳴海 一成田中 淳井上 雅好
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抄録
<はじめに>植物の致死、染色体異常および突然変異誘発において高LET重イオンが大きな効果を有することがわかってきたが、そのメカニズムは明らかでなかった。そこで本研究では、高LET重イオン照射した植物細胞に誘発されるDNA2本鎖切断(DSB)を定量的に分析した。
<実験方法>タバコBY-2細胞から細胞壁を除いて得た単細胞(プロトプラスト)を植物のモデル細胞として用いた。タバコプロトプラストにLETの異なるヘリウム、カーボンおよびネオンイオンを氷温下で照射した。ゲノムDNAをパルスフィールドゲル電気泳動法によりサイズに従って分離し、DNAの断片化パターンからDSB生成数および隣接するDSBの間隔を評価した。
<結果>DSB生成量はイオン種およびLETに依存し、調査範囲では124および241 keV/μmのカーボンイオンで最大となった。0.2 keV/μm ガンマ線、9.4および17.7 keV/μmのヘリウムイオンはDSBをほぼランダムに誘発するのに対して、94.8から431 keV/μmのカーボンイオンおよび440 keV/μmのネオンイオンではガンマ線に比べてDSBをゲノムDNA上に集中して誘発することが明らかになった。
<結論>高LET重イオンが植物細胞にDSBを効率良く・集中的に誘発することは、重イオンが有する高い生物効果の一因であると考えられた。
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© 2006 日本放射線影響学会
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