日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-23
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
損傷乗り越えDNA合成因子REV1の単鎖DNAを介した損傷部位へのターゲティング機構
*増田 雄司木南 凌神谷 研二
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抄録
損傷乗り越えDNA合成機構は、DNA修復機構とともに染色体の恒常性の維持に必要不可欠な生物機能である。酵母で同定されたREV1REV3REV7、遺伝子は、損傷乗り越えDNA合成反応に関与し、電離放射線からの生体の防御と突然変異の誘発に重要な役割を担っている。我々はこれまでに、ヒトREV1タンパク質は、鋳型塩基に対してdCMPを取り込むデオキシシチジルトランスフェラーゼであり、REV7タンパク質と安定な二量体を構成することを示した。最近では、REV1タンパク質がY-ファミリーの全てのDNAポリメラーゼ(pol eta、pol iota、pol kappa)と相互作用することを示し、損傷乗り越えDNA合成において中心的な機能を担っていることを示唆した。
今回我々は、REV1タンパク質の大変興味深い生化学的性質を報告する。REV1タンパク質の生化学的解析から、REV1タンパク質は単鎖DNAに高い親和性をもち、単鎖DNAに結合したREV1はその単鎖DNA上にあるプライマー末端だけに特異的にターゲティングされることを見いだした。この過程でREV1タンパク質は単鎖DNA上をスライディングしていると思われる。この性質は他のDNAポリメラーゼには観察されず、一部欠失型のREV1では消失することから、REV1に特異的に備わっている性質である。この結果は、REV1の最初のターゲットがプライマー末端というよりは単鎖DNAであることを示唆している
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© 2006 日本放射線影響学会
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