日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: W3-4
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放射線DNA損傷修復機構研究の最前線
相同組換えにおけるMus81-Eme1 endonucleaseの役割
*宮川 清
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抄録
Mus81-Eme1はXPF-ERCC1スーパーファミリーに属する構造特異的なendonucleaseであり、異常な複製フォーク構造を効率よく切断する。ERCC1はシスプラチンによる化学療法や放射線化学療法における標的分子と考えられているために、この複合体のがんにおける役割の理解は極めて重要である。そこでヒトがんにおけるこの複合体の役割を解明するために、大腸がん細胞株HCT116においてこれらの遺伝子のノックアウト細胞を作製した。これらの細胞では、姉妹染色分体や遺伝子ターゲティングの頻度が低下しており、Mus81-Eme1は相同組換え経路に関わることが示唆された。これらの細胞ではマイトマイシンCやシスプラチンに対する感受性は亢進していたがこれら以外のDNA損傷に対しての感受性に変化は見られなかった。また、Chk1やChk2を介するS期チェックポイントが活性化していた。これらの結果よりMus81-Eme1はDNA架橋によって進行を停止した複製フォークに対して、endonuclease活性によりDNAを切断することにより、この解消を図る経路で役割を果たすことが示唆された。
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© 2007 日本放射線影響学会
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