抄録
バイスタンダー効果は、電離放射線に照射された細胞からの情報伝達によって生物影響が周囲の細胞に及ぶ現象である。バイスタンダー細胞には、遺伝学的変化(染色体異常、遺伝子変異、微小核形成など)、後成的変化(メチル化など)、様々な遺伝子の発現変化、情報伝達系の活性化などが生じ、更に子孫細胞に情報が伝達される。バイスタンダー効果の機序としては、ギャップ結合を介した細胞間情報伝達、活性酸素種、活性窒素種、液性因子、脂質ラフト、カルシウム流束が考えられている。本発表では、バイスタンダー効果の現象と機序について概説する。