2021 年 2 巻 p. 163-181
筆者は現在,博士研究の一環として,Hintonのマスター・アプレンティス言語学習プログラムを参考にして,琉球諸語の新しい話者の支援に焦点を当てたMAI-Ryukyusプロジェクトを実施している。研究の問いは,新しい話者が琉球諸語を話す原動力,琉球諸語の多様性を可能な限り温存した言語習得,琉球の世界観に基づいた思考の枠組み(研究パラダイム)の探究である。本稿では,その中間所見に基づいて,琉球諸語話者が抱える心理的トラウマ,琉球諸語の言語運用能力を高め多様性を温存する方法,琉球の思考の枠組み,現行の日本国行政の問題点について考察した。