日本ロボット学会誌
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フレキシブルロボットアームの補償制御
内山 勝姜 兆慧箱守 京次郎
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1989 年 7 巻 4 号 p. 284-294

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抄録
フレキシブルロボットアームの運動特性は, リンクが弾性変形するため, 剛体ロボットアームに比べて, はるかに複雑である. このため, エンドエフェクタの位置決め制御も複雑な問題となる. この問題を要約すると, 結局, 以下の問題に分割される. (1) リンクの弾性振動をどう抑制するか. (2) ジョイントの位置決め精度をどう確保するか. (3) リンクの弾性変位によって生じる位置決め誤差をどう補償するか. 問題 (1) については, 多数の提案があり, 問題は解決されつつある. 問題 (2) は, 剛体ロボットアームの問題と類似するが, フレキシブルロボットアームでは, ジョイントの位置決めがリンクの振動抑制と干渉するため, それをどう解決するかが重要な問題となる. 問題 (3) は, フレキシブルロボットアームの作業に対して重要な意味を持つが, これを解決する適切な方法は, まだ提案されていない. 本論文では, ジョイント位置決め, リンク振動抑制, およびリンク弾性変位による位置決め誤差の補償という3つの制御機能を有機的に統合した階層構造制御系を提案する. そして, 補償制御について, その収束性を論じ, 重力による静的な条件下の誤差に対して, 収束条件を与える. 提案した制御系の有効性は, 2リンクフレキシブルロボットアームを用いた実験により示す. リンク弾性変位の測定は, 半導体レーザとPSDを用いた変位センサにより行う. このセンサは, 本研究において, 新たに考案し, 開発したものである.
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© 社団法人 日本ロボット学会
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