環境電子顕微鏡(Environmental Transmission Electron Microscopy; ETEM)は, 透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた動的観察手法のひとつである.通常のTEMでは,電子ビームの残留ガス分子による散乱を抑制するため,試料は真空下に置かれることになる.これに対して,ETEMでは,ガス雰囲気や液中など材料が実際に動作する状況下における状態を直接観察することが可能である.本稿では,2つのタイプのETEMについてその原理や特徴を概説する.また,応用研究の例として,金ナノ触媒反応のガス雰囲気下その場観察,およびグラフェンを用いた液中観察の結果を示す.