抄録
オージェ電子分光法(AES: Auger electron spectroscopy),X線光電子分光法(XPS: x-ray photoelectron spectroscopy)で使用される電子エネルギー分析器に関する強度/エネルギー応答関数(response function)の校正方法について記述する.どのようにデータが導出され,SI単位系のもとでどのような校正方法が遡及可能(traceable)かを,完全な系での基本的な物理的な原理の詳細を述べる.校正方法は,現在分析業務で必要とされている装置依存性を示す強度/エネルギー応答関数の正確なエネルギー依存性を与えることができる.本校正方法はAESに関しては2%以下,XPSに関しては4%の再現性を示している.またAESに関しては,絶対的な意味でトレーサブル(追試可能)であり,応答関数はsr・eV単位で与えられ6%の精度を持っている.XPSでは集光X線単色分光系では応答関数はAESと同様にsr・eV単位で与えられるが,単色化されていないX線源系に対してはm2・sr・eV単位がより適切である.XPSに関してはX線の発生効率を除いて全ての項(term)に対して正確なトレーサビリティ(traceability:遡及性)がある.絶対的な断面積(cross-section)を求めるためには十分なトレーサビリティが必要であるが,何らかの正規化の手順を用いる場合にはトレーサビリティはそれほど重要ではない.