不安症研究
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特集:社交不安症
社交不安症の認知・行動療法―最近の研究動向からその本質を探る―
金井 嘉宏
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2015 年 7 巻 1 号 p. 40-51

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抄録

近年のメタ分析の結果から,社交不安症に対するさまざまな薬物療法と精神療法の効果を比較した場合,Clark & WellsやHeimbergのモデルに基づく個人対象の認知行動療法が最も有効であることが示されている。一方,そのメタ分析において十分な治療効果が得られない患者の存在も指摘されており,さらなる治療の改善が求められている。社交不安症の認知行動療法では,恐れている社交場面への曝露が共通して含まれているが,その基礎理論となる恐怖条件づけと消去に関する認知神経科学の発展が著しい。本稿では,この認知神経科学の発展に基づいてエクスポージャーの改善を提唱しているCraskeのinhibitory learningや,不安症の治療法としても注目されているアクセプタンス&コミットメント・セラピーの観点から,社交不安症の認知行動療法の治療効果を高めるためのエッセンスをまとめることを目的とした。

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© 2015, Japanese Society of Anxiety Disorder
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