抄録
覚醒低下を誘発する単調作業下における,トラッキングエラー・反応時間・心拍数・閉眼率・脳波・眠そうな表情等,ドライバの覚醒状態を評価する各指標の出現傾向を実験計測し比較した.表情は,他の指標に比べ,脳波(α波含有率)に対する相関が最も高い結果を示した.また,操舵ふらつきや反応時間は,表情が居眠りに陥る状態になってから増大する傾向が観察された.本結果から,表情は居眠りに陥る前段階のドライバの眠気レベルを捉えるのに有効であることが示唆された.一方,心拍数は,その増減傾向が3つのパターンに分かれ,覚醒低下が生じても,眠気への抵抗が強い場合では覚醒時よりも増大する可能性が示唆された.