2012 年 43 巻 3 号 p. 737-742
本稿では,多様な状況を含む実市街路運転行動データベースをもとに,ドライバのブレーキ開始タイミングを調査したものである.その結果,RFもKdB_cも,先行車の速度が30km/h以上であるならば,従来の研究が示したのと同様にドライバのブレーキタイミングをうまく説明できるが,先行車の速度が30km/hを下回る場合には,ブレーキタイミングを与える限界値(RFの場合は2,KdB_cの場合はブレーキ判別式が与える値)を超えるケースが少なからず存在し,それらは緊急ブレーキではなく,ごく自然に発生しうるものであることが示された.また,そうしたケースが生じる理由についての考察を行った.