抄録
近年、慢性透析患者で出血性疾患を合併した症例に、抗凝固剤としてGabexate Mesilate (G. M.)を使用するFOY透析が有効な治療法として試みられる様になった。しかし、G. M. の抗凝固作用が弱く失活も速いために、治療中に血液回路内に凝血が発生し問題となる場合がある。そこで我々は、血液回路内をシリコナィズしたFOY透析用血液回路を試作し、これを使用してFOY透析3例、無抗凝固剤透析3例、延べ17回の血液透析を施行した。その結果、全症例ともチヤンバー内圧の上昇を認めずチヤンバー交換もなしで5時間の血液透析が続行出来た。使用後の血液回路内の残血量は、従来の血液回路に比し約50%減少した。透析中の血液凝固時間はポリ塩化ビニール製血液回路に比し有意な延長はみられなかった。血液回路内をオルガノポリシロキサンでシリコナィズする事により抗血栓性に効果があった。