九州理学療法士学術大会誌
Online ISSN : 2434-3889
九州理学療法士学術大会2021
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歩行パターンの改善を目的とした歩行練習支援ロボット Welwalk の活用方法に関する提案
フィードバック機能単独での介入が脳卒中軽度片麻痺患者の歩行パターンに及ぼす影響
*前田 結衣*松浦 健太郎*野中 裕樹*藤井 廉*田中 慎一郎
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p. 11

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抄録

【目的】

Welwalk は,下肢運動をアシストするためのロボット脚を装着し,トレッドミル上での歩行訓練を行う歩行練習支援ロボットである.ロボット脚やトレッドミルに加えて,多彩なフィードバック機能を有す患者用モニター等から構成され,重度〜中等度の歩行障害(歩行FIM3 点以下)を呈す脳卒中片麻痺患者に対する歩行自立度の改善効果が示されている.Welwalk の構成要素の中でも,ロボット脚は重要な役割を果たすが,我々はフィードバック機能単独での活用方法を考案し,軽度の歩行障害(歩行FIM5 点以上)を呈す脳卒中片麻痺患者の歩行パターンの是正に役立てている.本研究の目的は,シングルケースデザインにて,我々の考案した訓練方法の介入効果を検証することである.

【方法】

症例は,脳梗塞による左片麻痺を呈した 80 歳代男性であった.理学所見について,SIAS 下肢運動機能は 4,4,4 で,歩行 FIM は6 点(杖歩行自立)であった.歩行は,左右非対称な歩行パターンを呈し,特に麻痺側下肢のステップ長に顕著な短縮を認め,非麻痺側と比較し麻痺側股関節伸展角度に顕著な低下を認めた.今回,シングルケースデザインによる BAB デザインを採用し,B期と B2 期は Welwalk による歩行訓練を,A 期は一般的な平地での歩行訓練を実施した.介入期間は各々3 日間,1 日 20 分とした.介入方法は,当初は前額面における歩容をモニターに表示し,画面上に映し出された足型と自身の振り出した足を一致させる課題を試みたが,症例にとっては難易度が高く,成功率が極めて低かった.そのため,より単純な課題として,サイドカメラを用い矢状面における歩容を前方モニターにリアルタイムに表示し,ステップ長が左右対称となるように麻痺側下肢の振り出しを意識してもらい視覚的なフィードバックを促した. 歩行解析には,三次元動作解析装置(KISSEICOMTEC 社製)を用いた.歩行パターンの指標として,ステップ長の左右非対称性(Steplength asymmetry ration; SLAR)を算出した.なお,介入前,B 期後,A 期後,B2 期後に計測を実施した.各期における SLAR の比較について,Friedman 検定を行った後,事後検定には Wilcoxon-signed rank test を用い,Bonferronimethod で補正した.

【結果】

介入前と比較して,B 期後,B2 期後に有意な非対称性の改善を認めた(P

【倫理的配慮,説明と同意】

ヘルシンキ宣言に基づき,対象には十分な説明を口頭で行い,同意を得た.

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© 2021 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会
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