生体膜の主要構成成分である脂質を材料上に吸着配向させ、その抗血栓性について抗凝固性と抗血小板血栓性の二点について検討を加えた。脂質膜のパラメーターとしては荷電に注目した。
この結果、内因系凝固過程の開始反応である接触活性化(血液凝固因子XII活性化)は負荷電脂質表面では起こるが、中性、正荷電脂質表面では阻害されることが明らかとなった。また、血小板は中性、負荷電脂質表面において粘着量が少なく、形態は中性脂質表面において最も良く保たれるということが明らかとなった。
抗凝固性と抗血小板血栓性を同時に満たす最的な状態としては中性脂質表面が良く、この場合の抗血栓性はかなり良いと思われる。