人工臓器
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混合静脈血の温度変化によるRate-responsive pacemakerの臨床使用経験
小坂 真一池下 正敏森岡 晴記山内 茂生鈴木 敏克三枝 直紀五味 淵誠田中 茂夫庄司 佑
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1988 年 17 巻 3 号 p. 1187-1191

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抄録
最も新しいrate-responsive pacemakerである右室内混合静脈血温度をsensorとするKELVIN 500(VVIR)を5症例に使用し臨床的検討を行った。術後全例にトレッドミル・テストとホルターDCGを施行し, また1例にはhot bath test (42℃)を行った。トレミッドミル・テストの結果は良好で, 初めにペーシングレートは末梢血管の拡張による血液温の低下をsenseして, interim rate(中間レート)まで増加し,その後血液温の上昇に符合して, 上限レートまで達した。以上の反応は極めて鋭敏であった。一方, テスト終了とともに血液温が低下するため, 比較的早期にレートが下限レートに戻ってしまう傾向がみられた。ホルターDCGの結果は良好で, 日常生活で極めて自然な心拍数の変動が見られた。hot bath testでは体温の上昇に従ってペーシングレートが増加するのが観察された。術後は全例NYHA心機能分類でI度に復し, 胸部不快感など訴えたものはなかった。KELVIN 500はrate-responsive pacemakerとして極めて満足すべき成績を示したが, このpacemakerの特長である血液温のdipをsenseし漸定的にレートを増加させて維持する機構(interim rate)は特に有用であった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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