人工臓器
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エポキシ処理結合織管の開発
冨澤 康子野一色 泰晴大越 隆文小柳 仁
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1992 年 21 巻 1 号 p. 295-298

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抄録
動物血管を親水性エポキシ化合物で架橋処理すると細胞親和性が良く、外膜結合組織の治癒が良好である。このことに注目し布製のマトリックスに生体の結合織をからませ、外膜様結合組織を作りこれをエポキシ処理することにより異種動物結合織人工血管を開発した。ポリエステル製メッシュの内腔にシリコンチューブを挿入し4週間ウサギ皮下に包埋した。チューブ抜去後、この管をエポキシ処理し代用血管とした。作成した代用血管は白色、断面円形で布製のメッシュが透見でき、動物への植え込み実験時グラフト壁および針穴からの出血は無く、吻合性も良かった。肉眼的に4週間目には内面に光沢のある白色の部分が認められ、光顕的に細小血管が内腔面に開口しているのが観察された。結合織は10週間経過していても完全には吸収されず、残存していた。今後はメッシュの選択、結合織作成のためのdonor動物の種、架橋率等考慮し遠隔成績を検討したい。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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