抄録
〔目的〕徒手療法のテクニックが臨床において評価を得てきている。しかし効果の背景にあるメカニズムが明らかになっているとはいえない。本研究は第5・6頸椎への持続的椎間関節自然滑走法と頸部屈曲の関節可動域変化の関係について調べた。〔方法〕20名の健常成人を対象とし,被験者内の繰り返し測定にてコントロール,自動運動,SNAGSの3種類の条件を施行して比較した。各条件において頸椎の屈曲角度を4回(0分,5分後,10分後,40分後)測定した。介入条件である自動運動とSNAGSは2回目の計測直前時施行された。また,施術者による第5頸椎棘突起に対する母指を用いた徒手的操作の力(N)も計測した。〔結果〕SNAGS群の2回目の測定時のみに統計的に有意な頸椎屈曲角度の変化があった。健康人対象では持続的な関節可動域の増加効果は得られなかった。〔結語〕介入量を変化させてさらなる詳細な検討が必要と考えられる。