開胸を要しない右心補助の方法を考案し、その可能性と有効性について雑種成犬を用いた急性期実験を行って検討した。右心補助は頚静脈より挿入した脱血管にて右房より脱血し、大腿静脈から肺動脈まで挿入した送血管によって肺動脈へ送血することにより、全て末梢静脈からのアプローチにて行った。血液ポンプには遠心ポンプを使用した。送血管の挿入に際しては、スワン-ガンツカテーテルをガイドに、圧モニターのみで肺動脈まで誘導する方法を考案した。本法に、拍動型補助人工心臓による左心補助を併用して両心補助とし、心室細動下に上行大動脈を30分間遮断して両心不全を作成した。心不全作成後、左心補助のみ行った場合に比べ、本法を併用した場合では、心拍出量は平均50.4%上昇、平均大動脈圧は28.8%上昇し、良好な体循環を維持できた。また、軽度の肺動脈逆流を生じた場合も、右室収縮期圧および拡張末期圧は有意に低下した。