抄録
従来、徐放剤として臨床応用されてきた、ポリL-乳酸マイクロスフェ上レ(以下聡)を新しい塞栓物質として肝動脈塞栓に使用し、その塞栓効果について成犬を用いて基礎的実験を施行した。肝動脈塞栓前後の造影像の比較では、二次分枝までの太い血管には明らかな変化は認められず、かなり末梢レベルでの塞栓が可能と考えられた。血液デ上タでは、塞栓2週後の白血球数が塞栓前と比較して上昇傾向を示しており、4~6週後にはほぼ塞栓前のレベルまで回復していた。これは、生体反応による結果と考えられた。組織標本では塞栓を施行した肝実質に、小肝動脈系を中心とした梗塞巣を認め塞栓効果が確認できた。しかし、その塞栓効果のために両葉に渡って広範な梗塞を起こし、急性肝不全の状態を呈することがあり、MSのサイズ・使用量については今後の十分な検討が必要である。