抄録
虚血, 再灌流を余儀なくされる開心術中の冠動脈内皮は機能的, 形態的傷害を受けやすく, 血液中の物質流入調節機能が低下すると考えられる。この時期に動脈硬化促進因子であるLDLを十分低下させることは, 内皮下組織へのLDLの過剰流入を軽減し, ひいては冠動脈やバイパスグラフトの動脈硬化の進展を軽減することにつながると考え, 冠動脈バイパス術中の人工心肺回路にリポソーバーを並列させ, 人工心肺作動中LDLの吸着除去を2症例に施行した。LDL除去後の総コレステロール(TC)は, 術前値205, 257mg%dlからそれぞれ65, 73mg%dlに, LDLは449, 670mg/dlから96, 154mg/dlに低下した。術後, TCとLDLは徐々に増加し, 約2-3週で前値に近い値にもどった。約2時間のLDL除去中, 特別な異常を認めなかった。創治癒も良好で, 術後経過にも異常を認めなかった。人工心肺中のLDL吸着除去療法は安全に施行可能であり, 有用であると考えられた。