抄録
Budd-Chiari症候群23例に対し、下大静脈遮断の補助手段として、F-Fバイパスを用い、直視下パッチ拡大術を施行した。使用した人工肺は、前期10例には気泡型肺を、後期の13例には膜型肺を用い、充填液量は21例で1200ml、2例で1600mlであった。血液希釈率は10~22.1%(平均15.2%)で、F-Fバイパスの平均流量は42.5ml/kg/minであった。下大静脈血流遮断時間は平均26分であった。手術時間は、3時間から9時間27分、平均5時間7分であった。術中出血量は600mlから4300ml、平均1830mlであった。また、閉塞肝静脈の再建を可及的行うようにしており、23例中14例に主要3分枝を開存させ、2分枝開存は9例であった。手術死亡はなく、全例症状の著しい改善を得、軽快退院した。以上、Budd-Chiari症候群に対する直視下根治術におけるF-Fバイパスの使用は、肝静脈血の返血が容易で、肝部下大静脈の病変部の確実な修復が可能であり、極めて有用な補助手段であると考えている。