人工臓器
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左心室脱血方式補助心臓の心補助効果に関する心力学的研究
急性動物実験による虚血心の左心室全体および局所心筋仕事量の検討
日下 貴文中村 孝夫松本 健郎林 紘三郎朝田 政克安田 慶秀田辺 達三
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1992 年 21 巻 4 号 p. 1311-1317

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抄録

左心室補助心臓(LVAD)の脱血方式はカニューラ先端の位置によって, 左心房脱血方式と左心室脱血方式の二つに分けられる. これまで, 左心房脱血方式によるLVADの心補助効果を心力学的に検討してきた. 今回は, 急性動物実験で冠動脈左前下行枝(LAD)を結紮して虚血心を作成し, 左心室脱血方式によるLVADの心補助効果を心力学的に解析した. 血行動態諸量のほかに, 超音波センサで左心室径, ならびに健常部位と虚血部位の心筋長を測定し, 左心室全体および局所心筋の仕事量を求めた. さらに以前行った左心房脱血方式との比較検討を試みた. その結果, 左心室脱血方式ではポンプ非駆動時の血行動態諸量, 仕事量およびendocardial viability ratio (EVR)は, LAD結紮1~2時間後に最低値あるいは最高値をとったが, 3時間後には回復傾向がみられた. このことから左心室脱血方式は, 循環補助能力, 除負荷効果のみならず心機能回復作用においても, 左心房脱血方式より有効である可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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