人工臓器
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閉塞性動脈硬化症の血液流体学的検討によるLDL吸着の有効性の評価
長沼 信治阿岸 鉄三三浦 明太田 和夫
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1992 年 21 巻 4 号 p. 1339-1343

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抄録

閉塞性動脈硬化症に高脂血症を合併している患者に, Liposorberを用いてLDL吸着療法を行い, 臨床的効果が早期に得られた. LDL吸着療法による各脂質値の除去率は, LDL 66.4±19.8%, 総コレステロール50.5±11.8%であった. 血液, 血漿粘度はLDL吸着療法前後でそれぞれ平均約10%の有無(p<0.01)な低下を示したが, そのときヘマトクリットの有意の変化はなかった. 総コレステロール, LDL値と赤血球変形能(全血の膜透過時間)との間に有意な相関(r=0.619, p<0.01)がみられた. また6症例の平均値では前値45±15sec/ml, 後値36±9sec/mlを示し, 有意差はみられなかったが平均17±12%の低下率を示した. これらの血液流体学的因子が低下し, 末梢循環が改善したため早期に臨床的効果が得られたと考えられた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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