抄録
膜型人工肺は, 近年性能向上が著しく応用の範囲も拡大してきている. 新生児・小児への応用, 長時間使用などにも多く適用が図られさらなる小型化, 抗血栓性の向上が望まれている.これらの課題に対し, 現在まで主に材料面に関し検討が行われてきており, その成果を上げている. しかし, 血液の流れ方も抗血栓性, 性能に関し影響しており, いくつかの報告が見られる. 今回我々は, 人工肺の抗血栓性及び性能と人工肺内の血液の流れについて検討を行った. その結果, 人工肺内の部位によって赤血球の濃度が異なっており, 高いHt. の部位と血栓形成部位が一致すること, 中空糸の配糸方法によっては, 膜表面の有効利用が行われず血液のガス交換に影響を与えるであろうことなどが考えられた. これらの血液の流れの検討を人工肺開発に役立てることにより更なる人工肺の小型化, 抗血栓性の向上が期待できるものと考える.