日本油化学会誌
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セトウチマイマイのスフィンゴ脂質 (第2報)
内臓部スフィンゴ脂質の分枝長鎖塩基
岸根 秀樹林 陽
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1997 年 46 巻 1 号 p. 29-38

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抄録
セトウチマイマイ (Euhadra hickonis) における脂質二重層内のスフィンゴ脂質の分枝長鎖塩基の構造とその物理的な性質について検討した。GCおよびGC/MSの分析結果から, セトウチマイマイの主な分枝長鎖塩基の構造は2-アミノ-16-メチルオクタデセン-1, 3-ジオールであった。
スフィンゴ脂質の分枝長鎖塩基から誘導したアルデヒドとメチルエーテルのマススペクトルで観察される m/z56と70のフラグメントイオンが, それぞれイソとアンテイソ構造であることを分子軌道計算 (AM1とPM3) によるフラグメントイオンの生成熱から示した。また, MM2を用いてスフィンゴ脂質の長鎖塩基より誘導したメチルエーテルと脂肪酸メチルエステルの分子力学計算を行った。その結果, 長鎖塩基の炭化水素鎖内のアンテイソ構造が脂質二重層の流動性を増加させる知見が得られた。
腹足綱動物における有肺類と後さい (鰓) 類の進化と生物学的見地から, セトウチマイマイ (有肺類) と後鰓類のアマクサアメフラシ (Aplysia juliana) のスフィンゴ脂質の長鎖塩基についても比較検討した。
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